チャペック兄弟と子どもの世界

大人、が初めての感動に喜んだり驚いたりすることは、子どもの頃の自分を拾い集めに行く作業だと思う。

 

 

平成最後の夏の終わり、芦屋市立美術博物館「チャペック兄弟と子どもの世界」に行ってきました。ちなみに展示期間の最終日で滑り込みセーフ。

カツン担だから……。ギリギリで生きてるから……。

 

なぜチャペックに興味を持ったかというと、以前読んだ小説にチャペックの名が出てきて、その章のお話がとても大好きで。それでどんな人なのか、どういう作品を残しているのか、ずっと気になっていたんです。

 

夏休みにも入ったことだし、自由研究としてちょっと深めてみようかという気になって、大学図書館で文学辞典にあたってみたり実際に作品を読んでみたりしてたんですね。

 

そんな中でこの展覧会の存在を知って、絶対行かなきゃ!と。その割になんだかんだで*1先延ばしになっていたんですが、この機会を逃すわけにはいかないので重い腰を上げて芦屋まで向かった次第です。

 

 

ここからは印象的だったことのメモ。どんな言葉で語っても本物を見たときの心のリアクションには敵わなくて、不誠実になってしまうような気はするんですが、忘れないでいたいことを書き残します。

 

  1.  子どものモチーフ

展示室に入る前の説明にあったとおり兄ヨゼフの絵は子どものようなタッチなんだけど、線ひとつひとつが絵に収まっているそのバランスが、絵が上手いってこういうことか~~って単純な感想を抱いてしまうくらいには華麗。


一方で第一次世界大戦中の作品は重苦しくて見ていてしんどくて、気が狂いそうで、早く立ち去りたいとさえ思う。こちらを見てくる目が訴えかけてくる陰鬱さがつらかった。

 

全体的に、描かれている造形が木工細工のような立体感と不思議な温かみにあふれていて、子どもをまなざしているヨゼフの感覚がすこし分かったような気になる。

 

 

*1:ドリミに明け暮れて。

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